建築士業務についての勉強会を開催しました!
当事務所建築法務部において4回目となる勉強会を2017年9月22日に開催しました。
今回は、NPO法人「欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会」や「住まいのホームドクター/設計者の会」の創立メンバーで、東海地方において欠陥住宅問題の先駆者である滝井幹夫一級建築士に講師をしていただきました。テーマは、「建築士の業務について」でした。
【建築士法の規制】
建築物は、美しさだけではなく、建物としての使用目的・機能が求められ、街並みを構成し、安全性すなわち関係者の生命身体及び財産に損害を与えないことが求められます。
そのため、建築物の技術的水準を確保、質の向上を図るために、一定規模・構造の建築物は建築士でなければ設計・監理ができないと定められているとのご説明がありました。
具体的には、
① 木造建物では、延べ面積100㎡を超え、あるいは、3階建て以上の建物
② 鉄筋コンクリートや鉄骨造などの建物では、延べ面積30㎡を超え、あるいは、3階建て以上の建物
の場合には建築士が設計・監理を行わなくてはならないとされ、安全性の確保が図られています。
【技術の向上と昔ながらの工夫】
設計においては、最近の法律では安全性などを重視するあまり、高気密高断熱など、人工的な環境にするように法律の制定などが進められる傾向にあるが、建築主の生活の仕方に合わせながら、建材選びを工夫するなどして、四季に応じた室内環境にしていくことが必要ではないかと言われていました。た。
【施工者と監理者の分離】
監理においては、工程における重要なポイントを深い経験値に基づいて、立ち会い・目視・計測でのチェックをしていくべきであるが、建築士と施工会社とが平等な関係といえない場合には、どこまで建築士がチェックをして、適正な監理をしていくことができるかは難しいということでした。そのため、滝井建築士が所属されている「欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会」においては、請負業者の下請けにならないと申し合わせ、設計監理の契約は建築主と結び、設計監理と施工の分離を徹底されているそうです。
【設計監理契約締結のタイミング】
建物イメージ図や各種図面を作成し、法令チェックなどをした上で、設計監理契約をすることが多いそうですが、その直前で施主の気が変わってしまい困ることもあり、建築士としては契約のタイミングは悩ましいというお話がありました。
【さいごに】
建築紛争においては、建築士の先生方に協力していただきながら進めることが多いですが、今回は、日頃の業務の内容を伺うことができ、また疑問にもお答えいただくことができ、大変有意義な機会となりました。