建築トラブルが起きたときの解決手段は?
建築トラブルが起きたとき、どのような方法で解決したらいいのでしょうか。
まずは、施工業者・販売業者と直接交渉すること
新築、リフォームなどの請負工事の場合は施工業者、新築建売、中古住宅売買などのような売買契約の場合は販売業者と直接交渉することです。
そこで話し合いがつけば、費用もかからず、短期間に解決することができます。また、解決できない場合も、相手方の言い分がわかりますので、その後の手続の準備にもなります。
住宅紛争審査会、愛知県弁護士会紛争解決センター、簡易裁判所の民事調停
これらは、いずれも、公正中立のあっせん員、調停委員(手続によって名前は違います)に仲介してもらって、話し合いによる解決を図る手続です。それぞれの特徴を説明します。
住宅紛争審査会
住宅紛争審査会に申し立てできるのは、①新築の②住宅で、③「建築性能評価書」がついているか「住宅瑕疵担保責任保険」がついている住宅です。申立費用は1万円(消費税非課税)で、その他の費用は原則としてかかりません。弁護士と建築士が審査委員として解決にあたります。比較的フットワークが軽く、争点整理の後、現地調査を早めに行っています。
(※)住宅紛争審査会
愛知県弁護士会紛争解決センター
愛知県弁護士会紛争解決センターの「あっせん・仲裁手続」は、取扱対象が限定されていません。住宅以外の建築トラブル、リフォームなども取り扱います。申立費用は1万円(消費税別途)ですが、話し合いがまとまったとき、成立手数料がかかります。金額は成立金額によって変わってきますが、300万円を支払うことになったときは、12万8000円(消費税別途)で、原則として申立人と相手方が2分の1ずつを負担する運用になっています。あっせん・仲裁人は、弁護士がつとめますが、建築トラブルでは建築士がもう1名のあっせん仲裁人として選任してもらうことができます。この手続も比較的フットワークが軽く、現地調査、事情によっては土曜日の期日実施も可能です。
(※)愛知県弁護士会紛争解決センター
簡易裁判所の民事調停
簡易裁判所の民事調停も取扱対象は限定されていません。申立費用は求める金額によって変わりますが、300万円の支払いを求めるときは印紙代として1万円(消費税非課税)で、その他の費用は原則としてかかりません。調停委員は、簡易裁判所に所属する調停委員が2名で務めます。建築士が調停委員の1名に指名されることもあります。
裁判所の手続ですので、土曜日の開催は認められていません。他の手続との比較で重要なことは、決められたこと(調停調書という書類が作られます)について、差押えなどの強制力が認められていることです。
その他
その他、愛知県建設工事紛争審査会のあっせん、調停、仲裁手続がありますが、当事務所の建築法務部では、利用実績は余りありません。
それぞれの手続は、ホームページで詳しく説明されていますので、より詳しい説明は、そちらをご覧ください。
(※)愛知県建設工事紛争審査会
訴訟手続
上記の手続は、「話し合い解決」を基本とした制度ですので、相手方が手続に応じない、協議を尽くしたが話し合いがまとまらない場合は、打ち切り(取下や終了)になってしまいます。このような場合の最終的な解決手続は、民事訴訟です。相手が不出頭でも話し合いがまとまらなくても、最終的に裁判所が判決を出してくれます。しかし、難点は時間がかかることでしょう。現在、一般の民事裁判は平均すると1年程度で終了するのが通常ですが、建築紛争の場合、平均約2年を要しているという統計があります。当事務所建築法務部が取り扱っている事案でも、それ以上の期間を要しているケースがあります。
以上、いくつかの手続をご説明いたしました。紛争は千差万別です。それぞれにふさわしい手段を考えなければなりません。どのような方法が適切かを判断するのも弁護士の役割です。迷ったら、当事務所建築法務部の弁護士にご相談ください。